2001 春 沖縄


3日目(3月26日)。
きょうはこの旅のメインである、
首里城公園に行こうと思います。
パンフレットによれば、
ホテルから歩いても充分回れる距離なので、
車は駐車場に置いていくことにしました。
とは言へ、「ホテル日航那覇・グランドキャッスル」は、
首里城から見ればかなり坂の下の方になります。
と言う事は、初めから結構な上り坂を行く事になります。
まぁ、なんとかなるさと歩き出してはみたものの、
運動不足の身には、やはり辛い・・・。(^_^;)

ホテルからゆっくり歩いて15分ほどで、
首里城公園の入り口に着きました。
20度を越える気温と、歩いて行くと言う事を考えて、
半袖のTシャツにGパンと言う格好だったのですが、
梅雨を思わせる天候の為、暑いんだか寒いんだか、
汗はかくものの、風が吹いてくるとちょっと肌寒い感じがします。
そこで、何かの時にと持ってきていた、
「HC日光アイスバックス」のレプリカユニホームを羽織る事にしました。
これはメッシュ状になっていて、風は通るけど、
一応長袖なので、肌寒さをしのぐ事が出来ます。
ま、スポンサーマーク(特に日光猿軍団)が目立つのは、
ご愛嬌と言う事で・・・。
そんないでたちで、いざ入場。


言わずと知れた、「守礼門」。
昭和33年に復元され、
平成4年に保存修理が完成。
首里城の顔として、
観光ポスター等にも良く登場しています。
記念撮影の定番かな。
2000円札にも描かれていますね。


「歓会門」。
俗に「あまへ御門(ウジョー)」と呼ばれていて、
古語でよろこびを意味する「あまへ」の漢訳から、
「歓会門」と言うそうな。
石造のアーチ門の上に木造のやぐらが載っています。
アーチは単純な円弧ではなく楕円状で、
沖縄の石造建造物のユニークな面を見せています。
昭和49年に復元されました。


「瑞泉門」とそこに続く石段。
露出の関係で黒く見えますが、
実は綺麗な朱の色をしています。
城壁の切れた部分に木造のやぐらを載せた、
いわゆる櫓門(やぐらもん)形式で、
本土の主要な城の門は、
大体がこのスタイルだそうです。
石段は、一段一段が奥が高い傾斜になっていて、
かなり歩き辛い感じがします。


「龍樋(りゅうひ)」。
「瑞泉門」の右下に、
竜の頭の形をした樋口があり、
湧水が流れ出しています。
かつては城の生活用水として使われていた様です。
石彫刻の龍頭は、1523年に中国からやって来たもの。
沖縄戦の時に破損したのを補修したもので、
首里城の彫刻物で唯一当時のものだそうです。


「漏刻門」。
こちらも櫓門形式の門。
かつてこの門の中にあった水時計で時刻を計ったことが、
「漏刻」の名前の由来だそうです。
修復された部分が石積みの色の違いでわかります。


「漏刻門」を入って20m程の所に、
日時計があります。
晴れた日には、こちらで時を計り、
水時計と日時計で計った時刻は、
首里の町にも鐘で報じられたそうです。
最近復元されたものの様ですね。


「広福門」。
「漏刻門」を入った右手にあります。
この門は、門としての役割のほか、
東側を大与座(おおくみざ:戸籍などを扱う)、
西側を寺社座(寺や神社などを扱う)として、
使用されていました。
現在は、左側が入場券の券売所、
右側がトイレとして使われています。


「奉神門」。
「広福門」を入ると、
「下之御庭(しちゃぬうなー)」と呼ばれる、
広場に出ます。
「御庭(うなー)」とは、儀式などで控えの場となったところ。
ここに入ると、左手に見える大きな門が「奉神門」。
この門は、別名「君誇御門(きみほこりウジョー)」と呼ばれ、
これほど大きな門は、珍しいらしいです。
北側は「納殿」と言い、出納や御用物などを司る所。
南側の「君誇」は、神女たちが神をもてなした所とされていますが、
詳細は不明だそうです。


「下之御庭」には、石垣で囲まれた、
「首里森御獄(スイムイウタキ)」があります。
「御獄(ウタキ)」とは、拝所のことで、
城外の寺などへの参詣には、
ここを拝礼してから出発したのだそうです。

この後、「奉神門」をくぐっ「正殿」へと進むのですが、
ここから先は有料となる為、
「広福門」にある券売所で入場券を購入します。
今回は、前もってクーポンを切ってもらっていたので、
入場券と引き換えてもらうだけでOK。


「正殿」と「御庭(うなー)」。
「奉神門」を入ると、「御庭」に出ます。
旧暦の元旦に行われる「朝拝御規式」や、
様々な儀式が行われる場所です。
「正殿」に向かって真っ直ぐ伸びる「浮道」は、
国王と賓客しか通る事が出来なかったそうです。
「正殿」と平行に帯状に敷かれた磚(せん:焼き物の敷き瓦)は、
儀式の祭、諸官や道具の配置の目安なるもので、
首里城独特のものだそうです。
実はこの「御庭」は、ここには写っていませんが、
「正殿」・「奉神門」の他に、南を「南殿」と「番所」、
北を「北殿」に囲まれた四角形なのですが、
平面で見ると台形状で、綺麗な四角形をしていません。
結果、「奉神門」と「正殿」は正対ではなく、
やや斜めに向き合っています。
「浮道」も「御庭」を斜めに横切っています。
これには、諸説ある様ですが、
何度か建て直しているうちにこの様な形になったらしく、
古い遺構では、直角に配置されていた時期もあった様です。

「正殿」は、非常に綺麗な色使いが印象的です。
当日の天候が良くなかったので、
あまり映えた色に見えないのが残念です。
晴れた青空の下だったら、
朱や金や緑と言った色が美しく写った事と思います。

「正殿」は、琉球で一番大きな木造建築で、
中国と日本の建築の影響を多く受けた建物です。
特に正面の唐破風は、「正殿」の顔と言えるほど、
威風堂々として見えました。

「正殿」には、沢山の龍の彫刻が施されていました。
屋根の上にも、大棟の左右と唐破風に、
大きな龍頭棟飾が見られます。
正面の大龍柱の様に 対になっているものは、
向かって右が阿行で、左が吽行となっています。
龍は琉球王国の守り神と言う事になるのでしょうか。

「阿吽」と言うと、
神社の狛犬やお寺の仁王像を思い出します。
そう言えば、沖縄には「シーサー」と言う、
魔除けの獅子(?)の置物が有名ですけど、
良く見れば、あれも「阿吽」の表情をしてますね。

「正殿」や他の建物の内部を観覧する事が出来ますが、
撮影禁止となっている為、写真は撮影していません。
特に「正殿」の中は、必見だと思います。
是非、お出掛けになる事をお勧めします。


「右掖門」とそれに続く下り坂。
平成11年発行の首里城の写真集に櫓は写っていないので、
それ以降に修復されたものと思われます。
結構角度のついた坂道の向こうに、
「歓会門」を見る事が出来ます。


「久慶門」。
「歓会門」と同様の造りをしています。
別名「ほこり御門(ウジョー)」といい、
「ほこり」は「あまへ」の対語で、
「よろこびほこる」と言う意味だそうです。
城外に面している事から、
主に通用門として使われていた様です。
昭和58年に復元されました。

これで首里城を一通り見た事になりますが、
見所満載で楽しい時間を過ごすことが出来ました。
時折霧雨が舞う悪天候だったのが、
少し残念な気がしないでもないのですが・・・。
まだまだ修復中のところもあり、
是非、再び訪れてみたい場所になりました。



首里城の最後に、
「西(イリ)のアザナ」と呼ばれる城壁の物見から、
那覇の町を見てみました。
天気が良ければ、慶良間諸島まで見通せるらしいのですが、
残念ながら、那覇市内でさえも煙った様になっていました。
上の2枚のどちらの写真にも写っている、
赤い屋根の向こうの白い建物が、
宿となった「ホテル日航那覇・グランドキャッスル」です。
地上20階階建てだったと思うのですが、
それが目の高さより下にあるのですから、
どの位上ってきたのか想像して頂けると思います。
こちらとは反対側には、「東(アガリ)のアザナ」があって、
「漏刻門」で計った時を、
両方のアザナで大鐘を打って、
町に知らせたのだそうです。




「首里城」の北側にある、「円覚寺跡」。
琉球一の規模を誇った臨済宗の総本山で、
王家の菩提寺です。
沖縄戦で破壊され、
現在は戦後復元された総門、池、橋があるだけとなっています。
下の写真は、総門の前から 「久慶門」を見たところです。



「玉陵(たまうどぅん)」。
首里城から西に少し離れたところにある、
第二尚氏王統歴代の墓陵で、
第三代の尚真(しょうしん)王が、
父の尚円(しょうえん)王の遺骨を移すために、
1501年頃築いたと言われています。
墓を守る形で置かれた左右2体の石の獅子が、
玉と戯れる姿がとても可愛いらしく見えます。
当時の板葺き屋根の宮殿を模した石積みの建造物で、
なにやら荘厳な感じがしました。


「玉陵」の回りは、木々に囲まれていたのですが、
なんかすごい格好をした木があったので撮ってみました。
種類はわかりません。
他の木には、「デイゴ」と言う標札が掛かっていましたが、
それとは違う種類の様に見えます。
どこか、マングローブを思わせる様な感じがしませんか?
枝の途中から根が生えている様な・・・。


結構な時間を、「首里城公園」で過ごしました。
昼食をとるのも忘れていたほどです。
他にもまだまだ見逃したところがあって、
是非、もう一度来たいと思っています。
この後、「沖縄県立博物館」へ行こうと思っていたのですが、
日祝休日と、月曜が休館日とかで、入れませんでした。(;_;)
で、仕方が無いので、
遅い昼食と言うか夕食と言うか、
せっかく沖縄に来たのだから、
一度食してみたかった、「ソーキそば」を食べに食堂探しをしました。
「首里高校」近くに、非常に安い値段を掲げた店があったのですが、
どう見ても食堂には見えなかったので断念。
地元で評判(?)の店に行ってみると、なんと店主が風邪でダウン・・・。
どうにかこうにか営業中の店に入ってみると、
食堂と言うよりは、飲み屋さんと言った雰囲気。
メニューにはちゃんと「ソーキそば」があったので早速注文しました。
中華でも日本風でもない麺と、骨付きのバラ肉。
それにスープがなんとも言えない味。
ちょっと気に入ってしまいました。(^o^)


夕方近くなり、
またまたゆっくり歩いてホテルへ戻る事にしました。
今度は下りですが、疲れた足には結構こたえます。^_^;
この頃には天候も回復して、陽射しも出て来ました。
なんか皮肉な感じです・・・。
大通りではなく、住宅街の中を歩いていたら・・・。


なにやら古びた建物に出くわしました。
黄色にピンクという配色が妙に目を引いたのですが、
どうやらこれは、「首里劇場」と言う映画館の様です。
が、切符売り場が表にあるわけでもなく、
何枚かのポスターが貼ってあって、
かろうじて映画をやっていると言うのがわかるくらい。
どう見ても町の集会場にしか見えなくて、
本当に映画をやっているのか、
入ってみようかと思ったほどでした。
ポスターによると、当日の映画は、桃色系だった様で、
興味をそそられつつ、外観の写真だけにしておきました。^^;
最近、私の住んでるところでは、映画館の閉鎖の話があったのですが、
こう言う感じで営業しているところがあるというのは、
ある意味、羨ましい感じもしますが、
TVやVTR、DVDと言った新たなメディアの普及で、
続けて行くのも大変なんだろうなぁと思われます。
以前はどこの町にもこんな劇場があったんだろうなぁ・・・。
頑張って欲しいものです。


今回の旅行では、
「日本旅行」のクーポンを切ってもらっていて、
夕食も、ミールクーポンと言うものを、
あらかじめ、¥5000(1食分)付けてもらっていました。
パンフレットでそう言うコースがあると言う事だったので、
予算的に余裕があったので使う事にしたのですが、
ホテル内のレストランではなくて、
外に食べに行く事になるのですが、
ここ「ホテル日航那覇・グランドキャッスル」は、
坂の下にあるわけで、町中へ出るには先ず坂を登らなくてはならず、
1日歩き回った身には、そこまでの元気が残っていなくて、
「ミールクーポンは予約ではない」と言った旅行代理店の担当者の言葉を信じ 、
結局外出は取り止めて、ホテル内のレストランで済ませる事にしました。
で、せっかくなので、沖縄料理を頂く事に・・・。
丁度良くそういったコースがあったので注文。
ゴーヤチャンプルーにジーマミー(落花生)豆腐。
ソーキにアシテビチ(豚足のカツオ出汁煮込)等々。
量は少ないですが、色々な郷土料理が出てきて、満足出来ました。
(お値段はそれなりに・・・)
ちなみに食前酒は、地元の「オリオンビール」でした。
これにて本日の予定は全て終了。
明日は最終日。
夕方の便だから時間があるので、どこへ寄り道しようかな・・・。


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