大迫町(岳方面)


2004.09.21

朝、宿の窓から外を見ると、
雨は本降り状態でした。
きょうの予定は・・・。
雨降りの中、
あまり出掛ける気分ではなかったのですが、
行けるところまでと言う事にして、
とりあえず、岳まで行ってみる事にしました。
岳は、早池峰登山の起点とでも言いますか、
多分、早池峰山に一番近い、
宿泊所があるところかも知れません。
(その先にも山荘とかがあったりはしますが・・・)
と言っても、登山の為の宿と言うよりは、
早池峰神社(元々は妙泉寺と言う寺院)の、
宿坊だそうですけど。
遠野にも、附馬牛の大出に早池峰神社があります。
そちらも、元は妙泉寺と言う寺院だったと言う事で、
まぁ、そう言う因縁話は色々あるらしいですが、
その辺の話しは、またの機会にしておきましょう。
天気が良ければ、
岳から早池峰山の登山口のある小田越まで行って、
更に江繋へ下りて、R340で遠野へと言う、
ルートを走ろうと思っていましたが、
結構な雨降りなので、無理はしない事にしました。

東和町から古田峠のトンネルを抜けて大迫町へ。
街中を通って早池峰大橋の下をくぐり、
稗貫川に沿って山間部へと進んで行きます。
神楽で知られる大償を通過してしばらく行くと、
目の前に早池峰ダムが見えて来ます。
田んぼの向こうにコンクリートの大きな建造物。
一種異様な眺めと言いますか・・・。
ダムを横目に見ながら更に登って行きます。
雨は止むどころか、益々強くなって来た感じ。
ダム周辺には、道の駅とかレストランがありますが、
先を急ぐので、寄りたいけど我慢・我慢。
ダムに依って一旦広くなった川は岳川と名前を変え、
道は川に沿って登って行きます。
ダムから10分も登ったでしょうか。
いきなり大きな駐車場と再開発を示す看板に遭遇。
どうやら岳の集落に到着の様です。
時期には、登山も含めてかなりの観光客があるのでしょうし、
再開発も必要な事なんでしょうけど、
あの看板は、回りの景色と不釣合いも甚だしい・・・。
雨も降り続いていて、人一人見かけないので、
ちょっと不安になったのですが、
鳥居も見える事だし、駐車場に車を入れ、
岳の早池峰神社に足を踏み入れる事にしました。
ちなみに、岳は濁らず「たけ」と発音するらしい。



岳早池峰神社の鳥居三態と参道。
一の鳥居(と言って言いのだろうか?)は、
見た目にも新しい感じですね。
二つ目の鳥居をくぐると、参道が長く続き、
途中に三つ目の鳥居があります。
当日は雨で暗い感じでしたが、
晴れていたらどんな雰囲気になるのでしょう・・・。


これは拝殿かな。
両脇の赤い垂れ幕(?)が、
薄暗い中、やけに目立ちます。


本殿と案内板。
案内板によると、御祭神は瀬織津比売神。
比売神は、姫命と書いても同じ意味かな?


能舞台でしょうか。
ここで神楽が舞われるのかな。
岳の神楽と大償(おおつぐない)の神楽をあわせて、
一般に早池峰神楽と呼ぶそうです。
舞で使われる山の神の面が、
「阿(あ=大償)・吽(うん=岳)」の形をしている事から、
ここにも、どっちがどっち的な話が、
あるそうなんですけどね・・・。


元々は妙泉寺と言う寺院。
今は跡だけが残っています。

余談

今回の旅は、多少時間的余裕があったので、
こうして大迫の早池峰神社まで、
足を伸ばす事が出来ました。
前にも記しましたが、遠野にも早池峰神社があります。
その昔は、早池峰山の東西南北に登山口があって、
それぞれに早池峰神社が置かれていたそうです。
遠野と大迫では、表裏論争などもあった様ですが、
他の所ではどうだったのでしょう・・・?
本当のところは、大和の東北遠征後に有耶無耶にされて、
色々と作られていった話も多いんでしょうけどね。
そんなこんなをネット等で調べて行くと、
岳・大出、両早池峰神社の御祭神である、
瀬織津比売神=瀬織津姫命(セオリツヒメノミコト)は、
遠野三山(早池峰・六角牛・石神=石上)の守り神と言われる、
三人の姫神の母神である事が分かってきましたし、
(遠野物語にもその一説があります)
蝦夷(エミシ)の国・日高見とも縁深く、
また、東北のみならず、全国的な神である事も分かりました。
にしては、あまりポピュラーではない感じがするのは、
なぜなんでしょうか・・・?
などと言う神話の世界の話は、別の機会に・・・。(^_^;)
反対側から見た歴史は、結構刺激的かも。


余談2

神社の直ぐ側に、郷土文化保存伝習館があります。
こんな天気だし、自分以外に人が来ている気配もなかったので、
開いていないだろうと思いながらも、
郷土文化(芸能)=早池峰神楽が見れたらなぁと言う、
かすかな期待を胸に覗いてみると、
なんと、開館していました。
当然のごとく、来館者は誰もいませんでした。
受付に声をかけてみると、入れて頂けるとの事。
入場料:大人¥210を払って中へ入りました。
ま、時期でもないのに、ここで神楽をやってくれる筈もなく、
漫然と展示物を眺めていると、管理人のおじさんが、
ビデオを流して、奥の展示室も開けて、
空調まで動かしてくれました。
たった一人の為に、申し訳なくて、恐縮しまくりです。
ビデオは、だいぶ前に撮られたものの様でした。
聞けば、この辺りは煙草の葉の生産が盛んだったそうで、
特に南部種と言う、ここだけのものを作っていたと言う事ですが、
それが衰退して行く中で、記録として残したものだそうです。
ビデオには、当時のこの地方の暮らしぶりが写されていました。
農閑期に、家々を踊って回る、神楽の一行の姿もありました。
なんかちょっと感動!
ビデオは、50分近かったと思うのですが、
記録映画ではありましたが、決して飽きる事のないものでした。
当日、その後何人が訪れたのかわかりませんが、
色々お世話になり、ありがとうございました。



郷土文化保存伝習館のパンフレットとチケット。

早池峰神社を後に、ダムまで下って来ました。
お昼を過ぎて、ちょっとお腹がすいたので、
ダムに隣接している、「道の駅はやちね」へ。
大迫は、オーストリアのベルンドルフと、
友好都市になっているそうで、
「道の駅はやちね」には、
オーストリアワインが100種類も貯蔵されている、
「ベルンドルフプラッツ」があり、試飲も出来るそうですが、
当日は、お休みの様でした。
もっとも、車で移動している身で、お酒はねぇ・・・。(^_^;)
道を挟んだダム湖(早池峰湖)の側には、
食事も出来る、「ワインハウス湖畔」があります。
ピザを頂きましたが、なかなか美味しかったです。
食事をしているうちに、雨が上がってきました。
代わって、雲のような霧が流れてきて、
一面真っ白で、何も見えなくなってしまいました。
霧が晴れるのを待って、道の駅を出発。
若干戻って、久出内(ヒサデナイ)へ向かいました。
「巨木」と言う看板を見つけたからでした。
山の中へと続く道を走って行くと、
細く枝分かれして、車一台がやっとになってしまいました。
その先にあるのが、「白山杉」と「山祇桂(やまずみかつら)」。
せっかく行っては見たものの、駐車スペースはありません。
残念ながら、ちょっと写真を撮って直ぐUターンでした。
巨木と言うからには、かなりの大きさを想像していたのですが、
杉は確かに大きそうでしたが、桂はどうなのか、
自分の記憶の中に、比較できる対象がありませんので、
なんとも・・・と言う感じでしょうか。
薄日も射して来て、ゆっくりしたい気もしたのですが、
なにせ狭い道なので、邪魔にならない様、
早々に下ることにしました。
ダムを過ぎる辺りで、再び霧が出てきて何も見えない状態に。
しかし、路面はすっかり乾いていました。
このまま晴れてくれればと願いながら、大迫の市街地まで下りて、
ガソリンスタンドに立ち寄ったとたん、大粒の雨が・・・。
そのまま、翌日まで降り続く事となりました。
自分では雨男じゃないと思ってたんだけどなぁ・・・。


湖の上を漂う霧(雲?)。


駐車場の端の方から見た早池峰ダム。


「道の駅はやちね」にある、ワインハウス湖畔(左)と、
道を挟んだ向い側の、ベルンドルフプラッツ(右)。


友好都市締結30周年記念に建てられた、
「友好の鐘」。
日に三回、鐘が鳴り響くそうです。


この中のどれかが白山杉・・・?
駐車場がない為、近くまで行くのは断念。
行って行けなくはなかったのでしょうが・・・。


こちらは、山祇桂。
全体を撮ろうとすると、やはり離れるしか・・・。
前の道路が、舗装はされてるけど、結構狭いのが分かるかなぁ。


帰りがけに見つけたこちらの木は、
なんの木だったかが思い出せない。
案内板があるから、
これも「巨木」の一つなんだろうけど・・・。


この辺りはまだ稲刈り前でした。
右の写真で、タンボの畦にある、
ワラを立てた様なものは何でしょう?
周辺でも、何箇所か同様なものを見ました。
豊作のおまじないか何か・・・?


下の集落から見た早池峰ダム。
山と山の間に見える、コンクリートの建造物。
突然これが見えたら、ちょっと異様かも。



「神楽とワインの里」大迫。
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